
「売上を伸ばしたいのに、なかなか結果が出ない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
もし、あなたのビジネスが大多数の競合と同じマーケティング手法に頼っているのなら、少し視点を変えてみるチャンスかもしれません。
多くの企業がデジタル広告やSNSに力を入れている今こそ、“あえて”注目されにくい方法に目を向けてみませんか?
今回は、デジタル化が進む中であえてダイレクトマーケティング(DM)を選び、大きな成果を上げたカナダの飲料会社の事例をご紹介します。
大量のデジタル広告が溢れる時代に、手に取ってもらえる「紙の強さ」とは?
競合と差別化を図りたい方、これまでとは一味違うアプローチを探している方に、ぜひ読んでいただきたい内容です!
【カナダでの事例】少数の市場に着目して売上が70%向上

パンデミックによって人々の生活様式が大きく変化する中、スウェーデン発の高級ウォッカブランド「アブソルート」は、ある“異例のマーケティング”で注目を集めました。
それは、最初からターゲットを明確に絞り込んだDM(ダイレクトメール)マーケティングです。
限定ボトルを訴求するための新たなアプローチ
アブソルートが訴求したのは、流行に敏感で情報への好奇心が強い層。しかも時期は、世界中がパンデミックの真っ只中。リアルな販促活動が難しい中で、「どのような方法なら心を動かせるのか」が大きな課題でした。
通常であれば、同ブランドの特徴的なボトルデザイン──アイコニックなブルーのロゴと繊細な文字装飾──を活かして、店内ディスプレイやPOSツールで訴求していました。しかし2020年のホリデーシーズンは事情が違いました。安全対策により店舗での物理的なプロモーションが大幅に制限され、店頭での存在感を示すことが難しくなっていたのです。
デジタル偏重の中で浮かび上がったDMという選択
多くのブランドがデジタル・コミュニケーションに注力する中、アブソルートが選んだのは、あえての紙のDM。競合が少ないことに着目し、逆にブランドの存在感を引き立てるチャンスと捉えたのです。
ターゲット地域は、カナダのオンタリオ州とブリティッシュ・コロンビア州にある10都市。送付したDMには、オリジナルカクテルのレシピや店舗検索用QRコードを掲載。見た目にも印象的で、かつ実用的な設計にすることで、手に取ってもらえるDMを実現しました。
DM25万通、前年比70%の売上増という成果
このキャンペーンでは、合計25万通のDMが送付され、アブソルートの限定ボトルは過去最高の売上を記録。前年比でなんと70%増という驚異的な成果を叩き出しました。
この成功が示したのは、「デジタル一辺倒ではリーチできない層にこそ、DMは強力な手段になり得る」という事実。現在もアブソルートはDMを重要な販促施策として継続的に活用しています。
参考:https://www.canadapost-postescanada.ca/
成功理由:競合がデジタルに移行したことで目立たせることに成功

パンデミックによって世界中のマーケティング環境が一変する中、多くの企業がこぞってデジタルマーケティングへと舵を切ったのは記憶に新しいところです。そんな中、あえて紙のDM(ダイレクトメール)に注力し、見事な成果をあげたのがアブソルート・ウォッカの限定ボトルキャンペーンでした。
では、アブソルートが成功できた要因は何だったのでしょうか?そこには、デジタル時代だからこそ効果を発揮した紙DMの強みと、心理学を取り入れた巧みな設計がありました。
デジタル全盛の時代に“アナログ”を選んだ戦略眼
多くのブランドがデジタル施策に集中する中、アブソルートは逆に「紙」だからこそ目立つという好機に気づきました。誰もがオンライン広告に注力するタイミングで、郵便受けに届くDMは“静かなインパクト”を与えることができたのです。
つまり、競合が減ったからこそ、自社の存在感をダイレクトに伝えるチャンスになったのです。
「無視できないDM」をデザインで実現
もうひとつの成功の鍵は、DMそのものの存在感にありました。アブソルートのDMは、郵便物の中でもひときわ目を引く大判サイズと、ブランドの世界観を表現した鮮やかなビジュアルで構成されており、まさに「見逃せないデザイン」。
さらに、高級感あるギフトタグにはソフトな保護コーティングが施され、まるでプレゼントのような質感に仕上げられていました。視覚と触覚の両方から印象づけるこの設計は、自然とQRコードの読み取りというアクションにつながったのです。
心理学的アプローチ:DMと“ハロー効果”の関係
このキャンペーンにおいて注目すべき心理的テクニックが、「ハロー効果」の活用です。
ハロー効果とは、ある目立った特徴(今回でいえば高級感あるDMデザイン)によって、他の要素までも良く見えてしまう心理現象のこと。たとえば、「豪華なDMが届いた=この商品はきっと品質もいい」といった具合です。
アブソルートは、まさにこの“ポジティブな先入観”をDMで植え付けることに成功し、その印象がブランド全体の評価を底上げしたのです。
なお、ハロー効果にはネガティブな面もあります。ひとたび悪印象を持たれると、製品や企業イメージにまで悪影響が及ぶ「ネガティブ・ハロー効果」にも注意が必要です。だからこそ、ポジティブな印象づくりはマーケティングにおける重要課題といえるでしょう。
まとめ:心理を読み、逆張りで勝つ──アブソルートに学ぶDM戦略
今回は、アブソルート・ウォッカがパンデミック下で展開したDMマーケティングの成功事例を紹介しました。
DMの強みを最大限に引き出し、競合が減った市場であえて“紙”という選択をしたアブソルート。その成果は、ブランドの印象を高め、売上を前年比70%増にまで押し上げるという大きな結果を生みました。
マーケティングにおいて心理的アプローチはとても強力です。もし今、マーケティング施策に行き詰まりを感じているなら、「人の心理」に目を向けた戦略を検討してみてはいかがでしょうか?