日本でいえば、モバイル印刷はコンビニにいけばすぐに問題解決できますが、海外においてはそこまで技術が進んでいないこともあり、モバイル印刷=コンビニと結びつかないこともよくあります。
今回はシンガポールでのモバイル印刷サービスの普及のためにだしたDMの事例とともに、DMが話題提供にもなり得るための作り方なども詳しく解説しています。
【シンガポールでのDM事例】若い親をターゲット!就寝前の話題提供
今回の事例は、シンガポールでモバイル印刷を提供するHPが、モバイル印刷サービスの認知度を高め、この分野でHPへの嗜好を高めることを目的としたDMマーケティングです。また、物理的なプリントがもたらす喜びを視聴者に思い出させながら、親が子供とより充実した時間を過ごすことを奨励することも目的としています。
スマホが普及していく現代、人々は印刷そのものを必要としなくなりました。HPは、物理的な印刷がもたらす喜びを視聴者に、今回のDMマーケティングで思い出させようとしたのです。
これは、デジタルとスマートフォンの普及が進んでおり、消費者が印刷する理由が少なくなっているときに起こります。
そして、こういった思い出話は子供たちにとっても一つの物語として聞くこともできるでしょう。つまり就寝前の話題提供としても役立てることができました。
結果としては、利用者の数が2倍になり、コンバージョン率が29%に上がりました。
サブスクリプションWebサイトでも合計53時間費やされ、訪問者の80%がキャンペーンのターゲットオーディエンス年齢グループに含まれたのです。
【成果があがった理由】ターゲットの正確性と話題提供のユニークさ
今回のDMマーケティングのターゲットは、シンガポールに住む若い親です。なぜ若い親にターゲットがしぼられたのでしょうか。
HPは顧客データを確認していく中で、シンガポールでの若い世代の親が世界で最も過酷な労働時間のいくつかに耐えていることを発見します。
したがって、子供たちと充実した時間を過ごすことが、親にとってはDMを詳しく見てもらえる時間(いわば適切なアプローチタイム)だったのです。そこで、HPがDMを見てもらうために参加した時間は就寝時間前のちょっとした物語などを話す時間になりました。
このことを念頭に置いて、HPは、ストーリータイムを再発明し、手紙を書く喜びを促進するために、ハリエットパーキンスの冒険を制作したのです。
これは、彼女の家族の長く失われた宝物を見つけるために出発する機知に富んだ若いべっ甲猫の冒険を告げる手紙購読サービスを通して行われました。つまり、ひとつ話を子供たちの前で読むことで、子供から「次の話は?」と催促をされることによって自然と話題提供につながり、思い出話もできるようになるという戦略でした。
毎週印刷される手紙には、ストーリーの新しい章、Harriet Purrkinsの印刷可能なアートとクラフトの限定アクティビティへのアクセス、HPプリンターとインクの限定割引とプロモーションが含まれていました。
毎週の印刷可能なアクティビティでは、ダウンロードして印刷するためにパスワードが必要だったため、これは手紙で配布され、毎週親子の就寝時の話題に花を咲かせることに成功。
そして、この時間の話題提供は、毎週定期的に行われたので、自然と生活の中に解け込むことができ、マーケティングとしても顧客に印象を植え付けることができたのです。
参考:Direct mail case study:公式サイト
【顧客が読む瞬間を戦略】顧客ひとりでなく世帯全体をターゲットへ
DMマーケティングをするとなったとき、ほとんどの企業が念頭におくのが顧客ひとりがターゲットであり、ポストからDMを拾ったときの一瞬が勝負であることを説明します。
当サイトでもそのように解説することがありますが、実は内容によってはそのポストからDMを拾った瞬間以外にもDMを再び呼んでもらえるチャンスがあるのです。
今回の事例のように、ターゲットひとりに焦点を絞るのではなくそのターゲットの行動を活用、もしくはターゲットの周りの人や動物に興味をもってもらうなどを活用することで、興味をもってもらえます。
世帯全体の場合は、次のタイミングが狙い時です。
- 正月やクリスマス、夏休みなどのイベント時
- 食事時や就寝時など、家族との会話をするタイミング
つまりこれらのタイミングの中で話題提供に成功すれば、DMを定期配信しても何度も読んでもらえて、顧客の生活の中に入りこむこともできるのです。
DMをDMとして活用してもらうだけでなく、話題提供のひとつとして活用してみるという戦略をたててみるのもマーケティングのひとつになります。
話題提供として活用する場合は、次のタイミングでDMが役立つでしょう。
- 思い出話
- ユニーク性を活用した話題
- 予定を活用した話題(子供がいる家族世帯にはおすすめ)
- ニュースのひとつとしての話題
企業においてどんな話題提供が可能かを商材と照らし合わせて確認することをおすすめします。
もし今効果がかんばしくないと感じるのであれば、顧客に話題提供として送付してみませんか?
まとめ
今回の事例では、DMがDMマーケティングとしての役割を果たすだけでなく、ターゲットの世帯の中で話題を提供できるというような、少し変わった活用のマーケティングを解説しました。
DMをDMマーケティングとして活用するだけでなく、話題として提供することで顧客の生活に解け込み、受け入れやすくなることも少なくありません。まずは、どういった提供が可能か、はたまた他にもユニークな活用が可能なのかを検討してみましょう。
まずは戦略から立ててみて、PDCAをまわしてみませんか?