ダイレクトメール(DM)とは?
情報化社会においても根強く活用されているDM。
実は、日本のDMの始まりは江戸時代後期にありました。
DMとは、どんな歴史を辿ってきたのか、特徴などについて理解していきましょう。
ダイレクトメール(DM)の定義
ダイレクトメール(DM)とは、
自社の商品やサービスの販売を促進する目的で個人に向けた広告のこと。
従来では、住所や氏名など個人情報がわかっている顧客にのみ送付するのが主流でしたが、最近では宛先なしで送れるDMも増えてきました。
宛先が必要なDMでは、会員情報などで個人情報を取得できているリピート客にしか販売促進できませんでしたが、
宛先が不要なDMが増えてからは、個人情報を知らない新規顧客に向けてのアピールが可能 になっています。
そのため、インターネット社会といわれている現代においても、新規の顧客を開拓する手法としてDMを送付して反響を確かめる方法が根強くのこっています。
ダイレクトメール(DM)の歴史と発展
日本で初めてDMが利用されたのは、江戸時代後半です。当時は「お客を引く札」という意味をもつとされていた「引札」というものが現在のチラシのような広告物として使用されていました。
江戸時代の引札は、当時人気のあった読み物を宣伝するために活用されていましたが、明治時代になると大手の百貨店なども木版多色刷りのDMを送付しはじめるようになり、「郵便広告」と呼ばれる形に変化。
そして1900年代後半ころには一般家庭にテレビが普及し始めたため、テレビCMとDMを掛け合わせるマーケティング手法も使われるようになりました。
インターネットが普及しはじめた1990年代には、実物を直接確認できないオンライン広告の弱点を解決するために、サンプルなど見本を同封したDMも浸透します。
その後2000年代になると、リスティング広告が登場。SNSを使うなど広告ツールも多種多様化しましたが、現在でもDMを活用して成功している企業は多くあります。
【参考:国立歴史民俗博物館「引札の様式論的考察」】
江戸時代後半 |
日本で初めてのDM利用 |
---|---|
明治時代 |
木版多色刷りDMの送付 |
1900年代後半 |
テレビCMとDMを掛け合わせる |
1990年代 |
サンプルなどの見本を同封した |
2000年代 |
リスティング広告の登場 |
現在 |
SNSの広告ツールがある中でも |
ダイレクトメール(DM)の
種類と特徴
ひとくちに「DMとは…」といっても、カタログ形式のものがあったりさまざまなサイズのものがあります。
自社に合う形式を選択するのが一番重要なことでしょう。
ダイレクトメール(実物の郵便物)
の定義と特徴
実際の郵便物として郵便やメール便で送ることができる一般的なDMのサイズは、ハガキサイズやA4サイズ、各種封筒サイズなどさまざまです。
また、基本的なDMは住所や氏名など個人情報が必要であるため、送付の対象となる顧客 は、商品・サービスを利用したことがあったり、会員登録をしたことがあったりする顧客です。
ダイレクトメールの形式
(例:カタログ、フライヤー、クーポン、ニュースレターなど)
広告物として送られるDMとは、最も手軽なハガキタイプだけでなく、フライヤーやクーポンなどさまざまな形式があります。商品カタログとしてのDMとは、商品の説明はもちろんのこと新たな利用方法など商品の魅力を伝えることが目的です。
そしてA4やB5サイズのフライヤータイプのDM、休眠顧客の掘り起こしになるクーポンつきDM、企業や商品の認知度を上げるために使われることの多いニュースレター要素を含めたDMなどもあります。
Instagram/X(旧Twitter)の
DMとは?手法の整理
宣伝が目的で個人宛に送付されるダイレクトメール以外にも、
InstagramやX(旧Twitter)などSNS上でやり取りするダイレクトメッセージも「DM」とよばれています。
ビジネスで使用される場合もありますが特徴は異なるため、用途を理解し使い分けましょう。
視覚的なコンテンツ重視|Instagram
SNSにおけるDMとは
主にInstagram・X(旧Twitter)など。アカウントを所持しているものを対象に、個別の連絡先を知らない相手でも簡単にやり取りが可能
SNSのDMを用いた手法/宣伝
SNSにおけるDMの立ち位置とは、写真などの視覚的な情報を送ることができ、直接的なアプローチが可能。
また、DMをつかって位置情報を送ることができる機能を生かして、フォロワー限定のシークレットセールを開催している企業も存在します。10〜20代の若い人の間では、インスタ検索でお店を探すのが当たり前に行われているので、若い人をターゲットとしているなら特におすすめです。
拡散力が高い|X(旧Twitter)
Xの(旧Twitter)DMとは
基本的には不特定多数の人にむけたツイートで情報拡散しながら、反応があった人には個別でDMのやりとりも可能。気軽にツイートしメッセージができるためより親密なやりとりもできる。
顧客にとって有益なツイートはリツイートで拡散してもらえるので、ツイート次第では多くの人に認知される可能性もあるでしょう。
加えて、利用者の年齢層も幅が広いのが特徴です。DMを用いて複数人にアプローチすることも可能にできるのがX(旧Twitter)のDM長所と言えるでしょう。
ダイレクトメール(DM)と
他のマーケティング手法との比較
DMとは何か調べていく中で、SNSのDMに対する関心も高まるでしょう。
デジタルマーケティングも販売促進を行う上で必要な存在に成長しました。
従来の手法であるDM(ダイレクトメール)にもデメリットはあるので、デメリットを補うために用いるのも必要でしょう。
DMとデジタルマーケティングとの比較
SNS広告
X(旧Twitter)などSNSの投稿の間に
はさまるように表示される
通常のSNSの投稿と同様にシェアできるものもあるため、閲覧者に広告感を出しすぎないメリットがあります。
メールマーケティング
顧客に応じて配信する内容を変えて
メール配信する
メールアドレスを登録した人に対してメールを一斉に送信するメルマガに対して、顧客を属性で分類して配信する内容を変えるので顧客の購買行動を促進しやすくなります。
ウェブ広告
インターネットのホームページや
スマートフォンのアプリで表示される
特定のキーワードを検索したユーザーにのみ広告を表示することが可能なので、購買意欲の高い顧客にアピールできます。
DMの利点と限界
DMには、顧客の購買行動を促進するなど
さまざまなメリットがあります。
メリット
・配布物を作成すれば、
「顧客のポストに投函するだけでアピールできる」
・顧客の「見たいタイミングで見る」ことができる
・「インターネットを利用していない世帯にも訴求」できる
デメリット
・配布物を作成したり顧客リストの作成など準備にコストがかかる
計画を立てる段階からしっかりと設計を
行わないと反響率に影響してしまう
ダイレクトメール(DM)の
目的と効果
DMはブランド認知やコミュニケーションなどさまざまな目的で利用されます。
なぜDMを送るのか目的を明確にし、今後の反響につなげましょう。
01ブランド認知の向上
DMとは、商品やサービスの宣伝に強みがありますが、ブランドの認知度を上げることに対しても効果的。
ターゲットのポストに直接投函するDMは、顧客がポストからDMを取り出すときに、自分に必要なものかどうか確認するという行動が生まれます。一回でもお店や商品の情報に触れることになり、店舗情報などの認知が拡大しやすい メリットがあるでしょう。
02新製品やサービスの情報提供
2022年に一般社団法人日本ダイレクトメール協会が調査した内容によると、2021年におけるDMの開封率は、商品の購入経験のありなしにかかわらず79.5%と高い開封率 なので、新商品やサービスをリリースしたタイミングで情報を提供すると効果的です。
03顧客とのコミュニケーション
従来から使われている方法ですが、マーケティング手法としてのDMは、電話や訪問など直接的な接触が不要。したがって、顧客に警戒されにくいメリットがあります。
そのため、DMとは顧客とのコミュニケーションをとるツールとしても有効で、顧客データを分析してそれぞれの顧客の購入実績に合わせたDMを継続して送ることで、コミュニケーションが密になり、リピート客の増加につながります。
04売上向上
DMにクーポンや来店した際にもらえる特典を封入することで、顧客の行動促進につながります。
見込み客にアピールすることで 新規の顧客を獲得 するきっかけになったり、既存顧客に対しては会員限定セールの開催を告知することで リピート率を高めたりなど、売上アップ につながるでしょう。
05ロイヤリティの向上
顧客が自社ブランドに愛着を持つことを「顧客ロイヤリティ」といいますが、個人宛に送るDMは、顧客に特別感をあたえるので、顧客ロイヤリティの向上 にも役立ちます。
顧客ロイヤリティの高いブランドは、リピート客も多く、家族に商品の良いところを伝えてもらうこともあるので、売上を上げたいなら新規顧客の開拓だけでなく、リピート客も大切にしていく必要があるでしょう。
06市場調査
DM送付後に顧客が購買行動を起こしたかどうかを分析することで、市場調査に役立てることも可能です。
異なる内容のDMを複数回にわけて送付し、その結果を分析すると、どの広告の反響が高いかがわかるので、得られたデータを分析して、今後のマーケティング活動に生かしましょう。
印刷物・配達物の
ダイレクトメール(DM)の
作成ステップ
DMを作る際には、作成ステップを知っておくことで配達の際に失敗を防ぐことができるでしょう。
まずはターゲットを特定することからはじめます。
STEP 01
ターゲットの特定
印刷物や配達物としてDMを作成するなら、まずターゲットを特定することからはじめます。
販売促進したい商品を購入してくれそうなターゲットを明確にしなければ、DMの宣伝の効果は期待できません。
アピールする商品は、年齢や性別、職業などどのような層に向けて作られたものなのかという点から考えると効率的です。
STEP 02
メッセージの設計
チラシを見る多くの人は、強調されているメッセージやキャッチコピー、写真を見て最後まで読むかを決めます。
また、伝えたいメッセージが複数あると、何を伝えたいのかわかりづらくなってしまうので、DMのメッセージは、顧客が得られる利益を明確にしてできるだけコンパクトに設計しましょう。
STEP 03
デザインの作成
集客できるDMを作成するにはデザインも重要です。他社DMに埋もれてしまわないためにも一目で目を引くデザインに仕上げましょう。
そのためには、文字の大きさに強弱をつけたり色の明暗に差をつけるだけでなく、情報を盛込み過ぎていないか、全体で見てターゲット向けのデザインになっているかも確認が必要です。
STEP 04
発送手法の選別と追跡
DMの発送方法は、顧客データベースにある指定エリアの法人業種、もしくはターゲット層への自宅ポストへお届けする方法があります。
顧客を細かく選別する必要がない業種であれば、統計情報より顧客属性の占有率が高い地域に最低限のコストで、あらゆるポストにエリアDM配布などもあります。反響率を上げたい場合は、可能な限りが顧客データベースからのセグメントDM発送が効果的でしょう。
顧客属性が予めセグメンテーションされていることで、販促施策を管理して結果を分析しやすくなります。
STEP 05
結果の分析と改善
DM発送のような販促活動を実施した際には、企業が得ることができた反響を把握することが大切です。配布を行ったことで得られた結果を測定し、顧客の反応を分析することで次回のDMの課題が見えてきます。
顧客の反応を得やすくするために、サンプルやクーポンなどをつけて、顧客にとって魅力のあるDMを作成しましょう。
印刷物・郵送物の
ダイレクトメール(DM)の
成功例
DMの成功例はさまざまですが、反響率の高かったDMの代表事例について見ていきましょう。
反響率の高いDMは、共通して
- ターゲットが明確
- 顧客の目を引く
- 顧客にとって内容が魅力的
であることがいえます。
具体的な企業の成功例
そこで郵便局が主催している「全日本DM大賞」から反響率の高かった「JTBトラベランド」のDM事例についてご紹介します。
JTBトラベランドの広告を作成した富士ゼロックスは、旅行を終えたリピート客を海外・国内の両方でおすすめ旅を紹介することで来店を促進し、旅行需要を喚起することができています。
なぜ成功したのかの分析
JTBトラベランドは、「リピート客を増やすためには、初回利用客に対する2回目の利用が鍵になる」として、初回旅行を終えた顧客に1年以内に再度リピートしてもらえるような関係性を構築していくことを考え成功しています。
JTBトラベランドは、「リピート客を増やすためには、初回利用客に対する2回目の利用が鍵になる」として、初回旅行を終えた顧客に1年以内に再度リピートしてもらえるような関係性を構築していくことを考え成功しています。
印刷物・配達物の
ダイレクトメール(DM)の
注意点
DMをポスティングする際に、DMを送るタイミングやコンテンツの品質に注意することで、
顧客満足につながります。DMで注意すべきポイントをご紹介します。
受信者のプライバシーと許可
DMポスティングの際に、ポストが公道に面しているなら投函可能ですが、敷地内にポストがある場合は要注意です。
ポスティングをするために住居の敷地内に無断で入ることは、不法侵入にあたってしまったりプライバシーを侵害してしまうことになる可能性もあります。
コンテンツの品質と関連性
ポスティングするDMを作成するなら、顧客のニーズにあったコンテンツをできるだけ用意しましょう。顧客ニーズと離れたコンテンツのDMを送付しても反響につなげることは難しいです。
DMを読む人は、「このDMを読んでほしい情報が得られるのか」と考えます。そのため、顧客ニーズと関連性のあるコンテンツを掲載すべきでしょう。
頻度とタイミング
DMを配布するなら、ただやみくもにタイミングを考えずに行うのはNGです。DMに適した頻度とタイミングを考えてポスティングしましょう。
たとえば、一般的に週末にかけてチラシが投函される量が増えるので、他社チラシに埋もれないようにするためには、平日のポスティングを考えます。パート帰りや買い物帰りの主婦層がターゲットなら、平日に配布するのがおすすめです。
メッセージのパーソナライズ
DMの反響率を上げるための注意点としては、顧客に伝えたいメッセージのパーソナライズ・特別感をあたえることを意識しましょう。
特別感をあたえるためには、顧客の誕生日月に誕生日を祝うクーポン付きのDMを送ったり、キャッチコピーなら「あなたにぴったりの〜」などの文言を入れることで顧客の行動を促進します。
まとめ
郵送物としてのDMは、新規顧客やリピート客を増やすツールとして売上アップにつなげる企業のマーケティング手法です。
DMの利点を最大限に生かして販促活動を効率的に行いましょう。
印刷物・郵送物の
ダイレクトメール(DM)の重要性
DMの歴史から特徴、さまざまな広告との比較からDMの重要性についてご紹介しました。
インターネットが普及した現在でも、DMは開封率の高い広告として企業から根強く支持されています。
また、高齢化社会となっている現代では、インターネットを利用しない高齢者にも自社製品のアピールができるので、継続してDMでの販促活動を行い、顧客分析することで企業の売上アップ につながります。
今後のマーケティング戦略
におけるDMの位置づけ
DMにはさまざまな種類やサイズがあることがわかりました。DMの開封率や顧客の購買行動を促進する確率は高いことが知られていますが、DMを送るべきターゲットに読まれるからこそ効果を発揮 するでしょう。
今後のマーケティング戦略においては、DMのメリットやそれぞれの種類の特徴を生かして 開封率を上げ、確実な売上アップにつなげることが重要 です。