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チラシからはじまる物語「第11話」母の終活

チラシからはじまる物語「第11話」母の終活

「チラシからはじまる物語」15篇のストーリー

どこにでもありがちな家族の話、ありえない話。

ほろりと泣ける恋物語から、近未来の話まで、珠玉のストーリーをお届けします。

どの物語もチラシが重要な役割をはてしています。さて、そのチラシが人生にどんな影響を与えるのでしょうか。

あなたのお気に入りの作品に出会えるといいですね。

 

「第11話」母の終活

父が亡くなってから、母は一人暮らしをしている。一人娘の私としては、母と暮らして面倒をみてあげたいと思っている。そのことは、主人も賛成してくれている。

だが、住み慣れた家を離れたくないと、母は断固として断ってくる。私達家族が母の家に住もうかと話すと、「それだけは絶対に嫌だ」と言われてしまっている。

そこで、週に1回。私が母の様子を見に実家に帰っている。

 「腰が痛くて」

最近の母は、私の顔を見れば、体の不調を訴える。私は、医者じゃないんだから。

 「先生がね、加齢によるものだから我慢しろっていうのよ」

キッチンのテーブルでお茶を飲みながら、母のグチをひたすら聞く。

 「それでね、近所の奥さんにおかずあげたら嫌そうな顔して、さ」

母にとっては大切な話でも、正直に言ってどうでもいい話だ。それでも、真剣な顔を作って見せては、話にうなずいてみせる。

このキッチンには、たくさんの思い出がある。初めて料理を作った日。豆腐をまな板の上で切るだけの作業だったのに、母は自分のことのように喜んでくれた。いびつな形が混じってはいたけれど、味噌汁で楽しそうに泳いでいる豆腐を見て「やっぱり、切る人が違うと美味しそうね」って母がはしゃいでいた。

それ以来、料理を作ることが大好きになり、少しずつ料理を覚え、サイトを見ながらだがらある程度のものは作れるようになった。

キャベツを切っていて手を滑らししてしまい、指を切った時には母は真っ青な顔をして、病院へ連れて行ってくれた。先生は、「これくらいなら大丈夫」と簡単な処置をしてくれた。それでも母は、バイキンが入らないか、化膿しないか、根堀り葉掘り聞いていたっけ。

キッチンだけじゃない。一つ一つの部屋に、私がいた痕跡がある。まるでこの家だけ時間が止まったかのように、何一つ変わっていない。そのままに残っている。

 「そうそう。食べさせてあげようと思って、クッキーとってあるの」

よっこいしょと、重い腰を上げると、食器棚の上にある黄色い箱を取ろうと背伸びする。

 「いいよ。私が取るよ」

 「だって、どれかわからないでしょ」

母は遠慮するけれど、どう考えたってわかるでしょ。

背伸びしても届かないことに気がついた母は、椅子を持ちだした。上に乗って、箱を取ろうとしているのだ。

 「乗せるときは乗っかったんだけど」

言い訳をしつつ、椅子に乗っかると、箱に手を伸ばした。

 「うわぁあああ」

と、バランスを崩し、そのまま下に落ちてしまった。だから、言わんこっちゃない。

 「大丈夫?」

声をかけても、うなっているだけだ。これは、まずい。どこか打ちどころが悪かったのかもしれない。

 「待ってて、今、救急車呼ぶから」

強引にでも、私が箱を取るべきだったのだ。でも、後悔しても始まらない。とりあえずは、目の前で苦しんでいる母を助けなければ。

 「うううううう。よ、よ、よば、な」

声にならない声でうめき声を上げている。もしかしたら、骨でも折れてしまったのかもしれない。ある程度の年齢を重ねると、転ぶことは命取りになる。早く救急車を呼ばなければ。

落ち着いて、慎重に、そして間違えないように救急に電話をかけた。

5分もしないうちに、救急隊が到着した。動けない母は、担架に乗せられ、救急車へと運ばれた。

 「かかりつけの病院とか、飲んでる薬とか無いですか?」

救急隊員に聞かれたが、私にはすべてを把握できていなかった。毎週、通っているのにもかかわらず、肝心な母のことを知らないのだ。

でも、昔からの習慣なら、母のベッドにぶら下がっている袋に入っているはず。

 「あ、あった」

パンパンに膨れた、巾着袋には、大量のクスリと診察券、保険証まで入っていた。良かった。これで、病院にかかれる。本当に母は、何も変わっていない。変わったのは、私だけなのかもしれない。

救急車に同乗して、病院へと向かう。腕に心電図を巻かれ、時折、結果を印刷してみている。熱を計測したり、体の酸素を調べるため指で機械を挟んだり、救急隊員の人が熱心に母の具合をみてくれている。

 「お名前と年齢を教えて下さい」

救急隊員の呼びかけに、

 「ううううう、いいい」

無理矢理にしゃべろうとする。

 「あ、いいですよ。ムリしないで」

このときばかりは、赤信号を無視し、救急車を通すためクルマが協力してくれる。本当にありがたい。そのおかげで、すぐに目的の病院に到着する。

 ストレッチャーに乗ったまま、母は救命室へと運ばれていった。

動けない母

待っている時間は長い。でも、母が私を待っている時間に比べれば、大したことはないだろう。デイケアが嫌いで、ヘルパーを呼ぶのも嫌がっていたけれど、これからは介護保険を使って受けられるサービスを考えたほうがいいかもしれない。

母にしてみれば、まだまだ元気なつもりでいるのだろうが、やはり年齢には勝てない。私だって、週に1回通うのが精一杯。これ以上、増やすなんてとても無理な話だ。

家を離れるのも嫌、同居も嫌。1人で好きなように生きてきたから、他の人にあれこれ言われるのだけは、絶対にかんべんして欲しいと、以前から言われてきていた。

あんまり、ワガママ言える年齢じゃないんだけどね。今回みたいなことが、これからも起きるかもしれないし。やっぱり、心配は、心配だ。

 「もう、心配したんだから」

救急車で運ばれた母の診断名は、打撲だった。骨折しないで、本当に良かった。

 「先生がね、転び方がうまいですねって」

うれしそうに母は言うが、問題はそこじゃない。

 「お母さん、意地はってないで一緒に暮らさない?」

ダメで元々、今なら弱気になっているはずだから、了承してくれそうだ。

 「嫌だね」

即答で断られてしまった。

 「また今回みたいなことがあったらどうするの?」

 「大丈夫。転ぶのうまいから」

ほんと、そんな問題じゃないのに。のんきなことを言って、ごまかされてしまった。

打撲といっても、母は病院で借りた車いすに乗っている。実家には、車いすはない。もちろん、私の家にだってない。

  「今は、病院だからいいけど、家でどうするの?」

 「私の腕は丈夫だから、自分で押す」

筋張ってしまって細くなった腕を見せながら、母が言う。どうみても、どう考えても、その筋力じゃ無理だ。

 「じゃぁさ、湯治旅行だと思って、うちに来てよ」

しばらく考え込んでいたが、

 「わかった、湯治ね。じゃあ、治ったらすぐ帰るから」

やっと承諾をしてくれた。車いすは、病院のはからいで借りることができた。

とりあえず、母の家に帰って荷物をまとめないといけない。

 「持っていくものはね、私が指図するから。勝手には触らせない」

はいはい。わかりました。年を追うごとにワガママに、そして子どもに帰っていく母。でも、どこか憎むことができない。

福祉タクシーに乗り、実家まで戻る。

 「ほー、最近は車いすのままでもタクシーに乗れるんだね」

時代は進化している。その進化も知らず、時の止まった家で暮らしてきた、母。そろそろ、終活のことも視野に入れなきゃいけないかもしれない。頭に、荷物で溢れかえった家が浮かぶ。なんとかしなきゃ。

 「そうそう、食べさせようと思ってたクッキーを出さなきゃ」

家に帰るなり、母が言う。もういらない、と言いかけたが、そこまでして食べさせたいと願っていたのに、断るのも可哀想だ。

 「ありがとう。私が取るから」

当然ながら車いすの母に、棚の上の箱がとれるはずもない。

 「間違えちゃダメだよ。その黄色い箱だよ」

椅子の上に乗っている私に、指示が入る。食器棚の上には、ホコリが積もっていた。食器棚だけじゃない、部屋の四隅、窓のサンなどに、ホコリがうず高く固まっている。食器だって残っているままだ。

きれい好きだったはずの母なのに。どのくらいのあいだ、掃除していないんだろう。こんな細かいところまで、ケアしてあげるべきなんだろうな。ただ、遊びに来ておしゃべりするだけで、母の役に立っているつもりだったけど、生活全般の面倒をみるつもりでいないと。

本当なら、ヘルパーにお願いしたいけど、頑固な母を説得するのは難しい。

そうだよね。おしゃべりだけなら、近所の人と同じだ。私は、これまで何をしてきたんだろう。母は確実に年齢を重ねている、そして生活にできないことが増えてきている。その点を忘れちゃいけない。

 「はい。この箱でしょ」

クッキーが入っているにしては重たい。やっとの思いで箱を下におろす。と、母の顔が曇る。

 「これじゃない。黄色だって言ったでしょ」

どうみたって、これは黄色の箱だ。

 「ほら、あそこの黄色い箱」

指差す先には、オレンジ色の箱があった。黄色じゃないじゃん。

仕方ない。もう一度、椅子に上がって取りますか。今度は、異様に軽い。

 「そうそう、この箱。ここにクッキーが」

母が喜々として箱を空ける。だが、

 「しまった。近所の人と食べたんだっけ」

中は空っぽだった。でも、盗まれたと主張するよりはいい。

 「ごめんね」

母が平謝りに謝る。

 「この黄色い箱、重たかったんですけど」

嫌味を口にする。

 「さて、この箱には何が入ってるんだろ。もっと、美味しいものだったかな」

本当にマイペースな母が、黄色い箱を開けた。

 「なにこれ、紙じゃん」

思わず口にしてしまうほど、中にはぎっしりと紙が入っていた。

 「懐かしいなぁ」

意外にも母が大切そうに紙を取り出して見ている。

 「このチラシ、忘れてたけど、宝物なのよ」

 「もうしかして、これ全部、チラシ?」

 「そうよ」

当然と言わんばかりの顔をして母が言う。そのチラシをみてみると、どれもが同じ写真館のチラシだった。

 「あなたが生まれた時に、ポスティングされたチラシなのよ」

それが一体、どういうことなんだろう。

写真館のチラシにのっている赤ちゃん

 「この写真館のチラシにのっている赤ちゃんとあなたが同じ年くらいで」

目頭を抑えながら、母が言う。

 「同じモデルを使ってるから、成長するとともに写真が変わっていくでしょ」

ふーとため息をつく。

 「一緒に育っているみたいでうれしくて、集めてたの」

くったくのない笑顔で母が笑う。でも、集めていたの忘れてたんでしょ。そんな意地悪なことを言ってしまいそうになった。

 「でもね、可哀想なことになったのよ、そのモデルをなくしちゃって」

もしかしたら、何か事故でもあったのかもしれない。それともクレーム?

 「チラシに載るのを嫌がるようになって。それで、モデルチェンジしちゃったのよ」

なんとなく拍子抜けをしてしまった私をよそに、母が続ける。

 「可哀想でしょ。写真屋さん。モデルをなくしちゃって」

終活で家を片付けることも必要だが、変わらずにいることも大切かもしれない。

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